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- ペットもがんになります
なぜがんになるのか
私たち人間の身体の中では、実は毎日300個ものがん細胞が生まれています。免疫システムがそれを発見し、駆除してくれているため、多くの場合は発病せずに済んでいます。しかし、歳を重ねていくと免疫力が下がり、ある時1個か2個のがん細胞が駆除されずに残ってしまいます。がん細胞は細胞分裂を無尽蔵に繰り返していきますから、気がついたら大きな腫瘍となっているというわけです。こういったメカニズムは犬や猫にも当てはまります。つまり、ペットを飼っている以上、がんの予防と早期発見は、常に気にしておくべきことなのです。正しい知識を身につけて、可能な限りペットをがんから守ってあげるようにしましょう。
がんの予防
人間と同じように、受動喫煙によって同居しているペットのがん発症率は高まります。また、ピロリ菌がいれば胃がんになるリスクが大幅に高まります。また、犬種によってどういった種類のがんになりやすいかは、ある程度経験的に知られています。こういったがんのリスク要因と予防策についてもお伝えしていますので、まずは健康診断にお越しいただければと思います。
すべての腫瘍ががんであるとは限りません
こちらも人間と同じく、ペットも高齢化によって腫瘍で病院に罹ることが増えています。また、犬や猫は人間の5倍くらいのスピードで一生を終えますので、がんの進行スピードもおよそ5倍になるともいわれています。。ですから、できるだけ早い段階で発見して、すぐに治療を開始することが大切です。
とは言え、腫瘍が発見された時、それがすべてがんであるとは限りません。いわゆる良性のしこりであることもありますので、必要があれば切除しますが、そうでない場合は無理に外科手術をしない方がいいこともあります。
そして、病気の診断だけでなく、その子の全身状態や残された寿命などもすべて考慮した上で、本当に納得感のある治療を選択することが大事です。そのため当院では、きちんと検査をして、丁寧に説明をしながら診療を進めていくようにしています。
ペットががんであると診断されたら
まず、健康診断や症状などからがんの疑いが見られる場合には、詳しい検査をして本当にがんなのか、どの場所でどれくらい進行しているか、転移はあるか、どういった種類のがんなのか…などを調べていきます。
そして、麻酔に耐えられるかどうかなども考えながら、治療の進め方を決めていくことになります。また、例えば身体の一部を切除しなければいけなかったとしても、既に他の場所にがんが転移しているため寿命が数ヶ月しかないことが明らかであれば、QOLを優先して外科的な治療は行わないという決断をすることもあります。
もちろん、いくつかの選択肢を提示しながら、ペットへの負担が少なく飼い主様にも納得していただける方針を決めていきますので、ご安心ください。
健康診断を受ける「もう一つのメリット」
健康診断は、病気がないことを確認する、もしくは病気を早期発見するのが主な目的ですが、実は将来病気になってしまった時にも役立ちます。適切な治療方針を決める時は、病気の進行スピードを知ることが重要で、「少なくとも何年の何月時点では問題なかった」という健康診断結果があれば、そこから精度の高い診断につなげることができるからです。また、過去の状態と比較することで、どの程度身体に変化が起きているのかもわかります。今の健康状態を知るためにも、将来より良い治療を受けるためにも、定期的に健康診断を受けておくようにしましょう。